HSP/HSCと間違われやすい発達障害にASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠陥・多動性障害)があります。
HSPなのにASDやADHDと思いこんでいたり、あるいは、ASDもしくはADHDなのに、HSP/HSCだと本人や家族、あるいは医療者や先生が思い込んでいるケースが、実は意外なほど多くあります。
特に、あなたやあなたのお子さんが診断基準に必ずしもすべてあてはまらない、グレーゾーンの場合は、とても迷われるかもしれません。
でもHSPとASD・ADHDの間にははっきりとした違いがあります。
このページでは、それぞれの違いや、見分けるポイントをわかりやすく説明していきますので、もしあなたが自分自身について、あるいはあなたのお子さんについて迷ったり悩んでいるようでしたら、どうか参考になさってください。
ASDやADHDがHSP/HSCと間違われやすい理由は主に3つあります。どちらも・・・
- 刺激(音・光・匂いなど)にとても敏感
- (多くの人が気にしない)人混みや雑音の多い場所で、長い時間過ごすことを嫌がったり避けようとする、また行動がぎこちなくなる
- 刺激過多な状態が続くと、部屋にこもるなど一人になりたがる
ほかにも、細かいことへのこだわりや、完璧主義なところ、時に見せる感情の強さなどが、発達障がいのように思えるかもしれません。
もし迷ったら次の3つのポイントに注目してみてください。
HSP/HSCだったら以下の”HSPの4つの指標:D・O・E・S”を、必ず“すべて”持っています。逆に言うと、もしどれかひとつでも当てはまらなかったら、HSP/HSCではないことになります。
HSCが発達障がいと異なるポイントは、Eの“共感性”とSの“敏感に気づく能力”です。共感力が強いHSP/HSCは周囲の気持ちを敏感に察しながら行動します。
例えば、何かに熱中していても、それを続けたら周囲に迷惑がかかる状況であれば、HSP(HSCの子ならそのことを優しく言い聞かせたら)、それ以上続けることはおそらくありません。
でもASDの場合は周囲がどう感じているかを察することが難しく、やり方を変えさせられることをストレスに感じたり、納得がいかないと思ったらやり方を変えないかもしれません(※)。
もしADHDだったら、あれもこれもとこだわるあまり、必要なものと必要でないものの区別がつけられず、やることがとても多くなったり、時間ギリギリになってしまうかもしれません。HSP/HSCだったら、優先順位をつけて、必要のないものは後回しにしたり、あきらめたりすることができます。
HSP/HSCは刺激が強い状況や慣れない状況だと、引っ込み思案になったり、コミュニケーションがぎこちなくなり、それが発達障がいのように見えることがあります。でも、リラックスできる、仲の良い家族や友だちとの間では、むしろ相手の気持ちを敏感に察したり、思いやりのある行動を取るなど、共感力の高いコミュニケーションを示します。もしあなた自身やあなたのお子さんが、刺激の少ない状況でそのようなコミュニケーション力を発揮しているなら、HSP/HSCかもしれません。
HSP/HSCには刺激を求めるタイプもいます
またHSP/HSCには、好奇心が強く、新しいことに強い興味を示すHSS(刺激追求型)というタイプも存在します。そのような場合、「わたしはADHDかな」「うちの子、もしかしたらADHDかもしれない」と悩まれるかもしれません。
でもこの場合も、HSP/HSCは周囲の気持ちを考えながら行動するので、「順番を待てない」「相手が忙しいのに邪魔してしまう」といったADHDによくある行動をとることはありません。
また、HSP/HSCは“行動する前に一度立ち止まって観察する”ので、衝動的に危険な遊びをしたがることはありません(=危険ではないと判断するまでは、じっくり観察し行動には移しません)。
HSP・ASD・ADHD―それぞれに適したアプローチが大切
HSP/HSCはもちろん、ASDもADHDも、みな素晴らしい可能性を秘めています。共通するのは、豊かな創造力や才能を持っていることです。でもそれを開花させるためには、自分やその子に合ったアプローチが欠かせません。
HSP/HSC、ASD、ADHD、それぞれに合ったアプローチは異なります(HSP/HSCに適した方法はASDにはストレスになるかもしれません)。迷ったら専門家に相談し、あなたやお子さんに合ったアプローチを一緒に考えてあげてください。
(※:ASDは周囲の気持ちがわからなかったり、気にかけないように思われがちです。でもこれは、相手の気持ちがわかりづらかったり、読み違えたり、理解するのに時間がかかるからで、実はASDの方も、こころの中では、周囲にどう思われているかをとても気にかけ、わかろうと努力しています。)